※この記事は2021年8月本国掲載の内容です。
クリックの価値は全て同じではなく、それぞれコンバージョン率が違います。
手動入札の時代には、地域や属性によるコンバージョン率の違いを考慮して、東京の入札額を増やす・大阪の入札額を減らすといったように入札額を調整する必要がありました。
その後、スマート自動入札が登場しましたが、広告主の期待通りの入札調整が難しくなりました。
2021年夏、Google広告は「コンバージョン値のルール」をリリースしました。この機能は、計測したコンバージョン値をコンバージョンしたユーザーや地域、デバイスなど属性を事前設定して調整できます。
この新機能 が自動入札の入札調整をどのように復元するのか、また、この新機能を正しく使って最適な結果を得る方法について、前後編とQ&Aの3回にわたってご紹介していきます。
コンバージョン値のルールでスマート自動入札の入札調整を設定可能に
「コンバージョン値のルール」はGoogleMarketing Live 2019で発表され、2021年の夏の終わりにベータ版がリリースされました。
入札調整が単にCPCを調整するのに対し、「コンバージョン値のルール」は広告主がコンバージョン値を調整するためのルールを作成できます。そう言われると「コンバージョン値のルール」は入札調整の代わりになるの?と思うかもしれません。
スマート自動入札では、広告が検索されるたびに適切なCPCで入札価格が自動的に設定されます。この自動入札価格はクリックされることで得られる期待値と、広告主の目標広告費用対効果(tROAS)に基づいています。
例えば、Googleがクリックに対して1万円の売り上げにつながる可能性が10%あると予測した場合、そのクリックには1,000円の価値があります。これにtROASが200%(広告費100円あたりの利益が200円)の場合、CPC(クリック単価制)での入札額は500円(500円分のクリックで1,000円の価値を生む予測)となります。
この入札の場合、
・クリックの価値は1,000円と予想
・tROASは200%
・自動的に500円の入札価格を設定
・ユーザーがクリックした場合、広告主は最大500円を支払い、1,000円の価値が得られると予想されるため、ROASは200%となります。
コンバージョン値のルールを使うことで、コンバージョン値が2倍になるよう設定することができます。上記の例では、変換値を2倍にすることでCPCが2倍に設定されます。
同じ入札で、今度はコンバージョン値のルールを使ってみましょう。
・コンバージョン値のルールではコンバージョン値は2倍
・クリックの価値は1,000円ではなく2,000円と推定
・tROASは200%
・自動的に入札額を500円ではなく1,000円に設定
・ユーザーがクリックした場合、広告主は最大1,000円支払い、2,000円の価値が得られると予測。ROASは200%となる
このように、コンバージョンに対して報告された値を2倍にするルールは、実質的に2倍の入札単価調整を行うのと同じです。
コンバージョン値のルールを入札調整と同じように使ってはいけない
ここで重要なことがあります。
コンバージョン値のルールを入札調整の代わりに使用すること自体可能ですが、Google広告の自動入札がすでに行っていることを二重に行うことになるので、使用すべきではありません。
入札調整は、手動入札の場合に入札額を操作する方法です。
では、CPCの入札額はどのように算出されるのでしょうか?
例えば、資料請求フォームへの入力率が10%で、フォームへの入力が1件につき1万円の価値があるとすると、CPC入札額は1,000円(0.10×10,000円)となります。
次に、入札調整はどのように決定されるか解説しましょう。
Google広告のコンバージョン数を見て、東京のユーザーはコンバージョン率が20%高く、10%ではなく12%であることに気づきます。
そこで、東京からのクリックに対して+20%の入札調整を設定します。ユーザーが東京にいる場合、1,000円の入札は1,200円になります(0.10×120%×1,000円 = 1,200円)。
スマート自動入札側ではこの予測コンバージョン率の違いを把握しているので、入札額を1,200円ですでに設定してあります。これは、20%の入札調整を決定するために使用したデータが、コンバージョントラッキングを使用する際にGoogleが取得しているデータとまったく同じであるためです。
つまり、予測コンバージョン率に基づいて入札調整をするルールを作成してしまうと、二重に入札調整を行ってしまうことになります。誤った入札をしてしまうので絶対にやめましょう。
95%の広告主が使い方を誤り、意図しない結果を得たためGoogleは部分一致キーワードを削除したことを忘れないでください。同じ間違いをしないようにしてください。
まとめ
次回はOptmyzr(オプティマイザー)の「コンバージョン値のルール」を使って最適な結果を得る方法についてご紹介します。
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