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2021.08.13

Google広告の絞り込み一致キーワード廃止に伴い必要なこと

※この記事は2021年2月本国掲載の内容です。

Googleは絞り込み部分一致キーワードを廃止し、フレーズ一致の機能を変更することを発表しました。検索クエリのデータが公開されていない上にオプションを失うのは悔しいことですが、今回の変更は必ずしも見た目ほど悪いものではありません。

この変更について知っておくべきこと、移行の管理方法、Optmyzrによる新しいキーワードマッチタイプの管理方法をご紹介します。

Optmyzr(オプティマイザー)
Optmyzr(オプティマイザー)

絞り込み部分一致キーワードとは?

絞り込み部分一致は、2010年にGoogleが導入した部分一致のキーワードタイプのバリエーションです。これは、部分一致が広告を表示する検索を自由にしすぎているという広告主からの苦情に対応するためです。

 

私(CEO:Frederick Vallaeys氏)がGoogleで働いていた頃の例として、「Britney Spears」という検索に対して「Britney Spears posters」というキーワードをターゲットにした広告が表示された理由を、広告主に説明しようとしたことがありました。

 

ポスターを販売している場合、キーワードから「ポスター(posters)」という核となる単語を削除すると、当然ながら大きな違いが生じます。Googleはこれを理解し、修正したいと考えました。

 

しかし、部分一致は変更したくありませんでした。
というのもGoogleは長い間、検索全体の15%はユニーク検索であると主張してきたからです(そして今も主張し続けています)。
広告主は、このような推測しにくい検索の可能性を取り込むために、労力のかからない方法を必要としているのだと思います。
そのため、絞り込み部分一致(最近では「類似パターン」)は、常に新しい検索である15%の検索であっても、関連性のあるすべての検索に対して広告を表示するのに役立つのです。

 

部分一致に関連性の問題が続く中、広告主(特に高度な知識を持つ人や複雑なアカウントを持つ人)は部分一致を敬遠し、完全一致のキーワードを選ぶようになりました。

理由は、無関係な広義のバリエーションが表示されるリスクは追加トラフィックのメリットよりも大きい、と考えたからです。
この好ましくないトレードオフは、オークションタイムの入札自動化(Googleではスマート入札と呼ばれています)が行われる前の時代には実際に存在していましたが、現在では問題になることは少なくなっています。

 

それを理解するために以前にもお伝えしたことを繰り返しますが、「悪いキーワードというものは存在せず、悪い入札だけが存在する」ということです。

 

広告主は、自分たちの広告がどのようなキーワードで表示されるかを気にすべきではなく、コンバージョン率や1クリックあたりの売上を考慮して納得のいく価格でクリックを得られればよいという考え方です。

広告主はビジネスの成長を望んでおり、利益を求めています。キーワードを気にする人はいません。スマート入札は、どんなに奇妙なクエリでも利益の出る入札を設定することで実現します。

(これは、広告主がコンバージョンを正しく報告することを前提としていますが、決して正しいとも言えません。)

しかし、スマート入札が広告主の不安を解消する前に、Googleはマッチタイプのハックを開始することにしました。
そこで、絞り込み部分一致という準マッチタイプを導入しました。GoogleのAPIレポートでは、絞り込み部分一致はマッチタイプとして言及されておらず、部分一致と呼ばれ、たまたま「+」記号が含まれているだけで、正式なマッチタイプではなくハックされたものです。

 

無関係な検索に広告が表示されないようにしつつ、関連性の高い検索からのトラフィックを増やせるようにするために、Googleは、広告主がキーワードの中で絶対に必要な単語を「+」を付けて指定できるようにした。

 

例えば、Xbox専用のビデオゲームを販売する広告主は、「video games for +xbox」のようなキーワードをターゲットにすることができます。そうすれば、「xbox games」のような検索には広告が表示されますが、「nintendo games」には表示されません。

 

別の例では、高級別荘を扱う旅行サイトが「luxury vacation +homes in San Diego」のようなキーワードを使うと、「vacation rental homes near La Jolla」には広告が表示されるが、「luxury hotels in San Diego」には広告が表示されません。

Optmyzr(オプティマイザー)
Optmyzr(オプティマイザー)

広告主の絞り込み部分一致の使い方

Optmyzrが2021年2月5日に行った1億6200万件のポジティブキーワードの分析では、広告主がフレーズ一致と絞り込み部分一致キーワードをどのように使用しているかについて、以下のような結果が得られました。

 

  • ・ 89%の広告主が絞り込み部分一致キーワードを使用している。
  • ・絞り込み部分一致を使用している広告主の55%が、絞り込み部分一致クエリのすべての用語の前に常にプラスを付けている (例: +video +games +for +xbox)
  • ・絞り込み部分一致キーワードの95%は、キーワードのすべての用語の前にプラスをつけています。つまり、5%のキーワードだけが、この「video games for +xbox」のように、より選択的に言葉をプラスにしているのです。

絞り込み部分一致が期待に応えられなかった理由

ほとんどの広告主が絞り込み部分一致を意図した方法で使用していませんでした。

 

多くの広告主は、キーワードフレーズの重要な単語の前にプラス記号を付けるのではなく、単純にすべての単語にプラス記号を付けていました。そのため、キーワードは「video games for +xbox」ではなく、「+video +games +for +xbox」のようになっていました。

 

これは問題なく機能していましたが、基本的にこれらの単語がすべて検索に含まれていなければならないことをGoogleに伝えており、フレーズマッチや完全一致とよく似ています。

 

この絞り込み部分一致の使用方法では、広告主は完全な部分一致(任意の単語が変更または削除される可能性がある)よりも制限の多いマッチタイプを持つことになりますが、フレーズ一致(すべての単語が正確な順序で存在しなければならないが、前後に追加の単語を持つことができる)よりも制限は少なくなります。

 

1つ注意点は、絞り込み部分一致が導入されて以来、Googleはマッチングルールを真剣に緩めていることです。

 

例えば、2018年にはフレーズ一致はキーワードが密接に関連していても、例えばタイプミス、複数化、ステミング、または「in」や「of」などの冠詞の追加によって、広告をトリガーすることができると発表しました。

 

その年の後半には、「同じ意味」の類似パターンマッチを導入することで、完全一致ではなくなってしまいましたが、Optmyzrにはトラブルシューティングや元に戻すための素晴らしいツールが用意されております。

 

この変更以来、絞り込み部分一致とフレーズ一致の主な違いは、フレーズ一致の方が語順がほぼ同じであることをより厳しく求めています。それ以外の点では、この2つの違いはほとんどありません。

Optmyzr(オプティマイザー)
Optmyzr(オプティマイザー)

フレーズ一致はどのように変わるのか

2021年2月より、フレーズ一致は絞り込み部分一致を吸収することになりました。

これをアップデートフレーズ一致(2021)と呼びます。
フレーズ一致では、キーワードとほぼ同じ順序でクエリの単語を表示するという優先順位は維持されます。しかし、類似パターンマッチだけではなく、その間に多くの単語が追加される可能性があり、「in」や「to」のような冠詞とは限りません。

この変更によって広告主は何を失うのか?

今回のGoogle広告のアップデートにより、絞り込み部分一致に含まれる単語を選択的に「プラス」していた広告主は、追加の広告トラフィックを獲得するためのより積極的なアプローチを失うことになりました。

これは、プラスされていない単語はこれまでブロード一致として扱われていたため、Googleのアルゴリズムに最も積極的な変更許可を与えていたためです。

 

現在、広告主は絞り込み部分一致のオプションがなくフレーズ一致を使用しなければならないため、アルゴリズムは関連検索に対する広告表示をより保守的にするでしょう。より積極的なクエリの拡張を望む広告主は、ブロード一致キーワードを使用することができます。

 

更新されたフレーズマッチ(2021)は、すべての単語がプラスされない絞り込み部分一致よりも制限が厳しくなると思われます。

 

また、GoogleはGoogle広告APIブログの投稿で、フレーズ一致を使用している広告主はトラフィックが増加し、絞り込み部分一致を使用している広告主はトラフィックが減少すると指摘しています。

アップデートされたフレーズ一致への対応は?

これまでの説明には、たくさんの注意点があります。

 

例えば、Googleは意味に違いがある場合は語順を維持するとしています。
つまり、「book trip」のようなキーワードの場合「trip book」は別の意味になるので、語順は維持されるべきなのです(「book」は動詞から名詞に、「trip」は商品から記述語に)。

 

しかし「San Francisco vacation」は、ほぼ同じ意味であるため、「vacation San Francisco」に変更される可能性があります。

 

では、Googleのアルゴリズムは、その意味をどのように考えているのでしょうか?

 

PPCでは自動化が進んでいますが、言葉の順番が変わっても「San Francisco vacation」が「vacation San Francisco」とほぼ同じ意味であるかどうかを機械学習が判断します。

 

Googleはほとんどの場合正しい判断をするはずですが、広告主にとっては新たな不確実性が生じます。
特に、順番が入れ替わることで意味が全く変わってしまう場合(「milk chocolate」と「chocolate milk」のように)には注意が必要です。

 

小規模もしくはニッチな市場の広告主であれば、アルゴリズムの精度が悪いことはよく知っていると思いますが、それは単に少ないデータで学習されているからです。
しかし、大きな市場であってもシステムが間違えることがあるので、広告主は監視する必要があります。

 

良いニュースとしては、検索キーワードのレポートを継続的に監視して、マッチしない事例を見つけ必要な除外キーワードを追加するだけで、問題を特定することができます(Googleによると、現時点では動作に変化はないとのことです)。

Optmyzrでキーワードのマッチタイプ変更を監視する方法

Googleの発表を受けて、ルールエンジンに3つの新機能を追加し、広告主がキーワードと検索語句のマッピングを監視できるようにしました。

 

検索語句を評価する際には、その検索語句をトリガーとなったキーワードと比較することができます。
ルールエンジンは、単語がまったく同じであるかどうか、語順が同じであるかどうか、クエリがキーワードにどれだけ似ているかを教えてくれます。

 

これらの計算された属性を使用すると、トリガーとなったキーワードとは大きく異なる検索キーワードを簡単に見つけることができます。また、フレーズ一致の語順が変更されている場合も見つけることができます。

 

併せて、「キーワードラッソー(Keyword Lasso)」、「新しいキーワードの追加(Add New Keywords)」、「Optmyzrエクスプレス(Optmyzr Express)」など、マッチタイプを利用するいくつかの最適化ツールから、「絞り込み部分一致」のオプションを削除しました。

まとめ

Optmyzrでは、Google広告の機能アップデートの目的をとらえつつ、それに対応した上で広告主のプラスになるように設計しています。